スタイリングチェアは美容室に欠かせない設備の一つです。
しかし、実際に美容機器メーカーで20年以上営業をしていると、設備選びで失敗する美容室オーナーを数多く見てきました。
もちろん高額なスタイリングチェアを選べば成功するわけではありません。
反対に安いスタイリングチェアを選んだから失敗するとも限りません。
大切なのは、どのような基準で設備を選ぶかです。
私はこれまで開業や改装を行う数多くの美容室に携わってきました。
その中で感じたのは、失敗するオーナーには共通点があるということです。
今回はメーカー営業20年以上の経験から、美容室のスタイリングチェア選びで失敗するオーナーの共通点をお話しします。
- 安いスタイリングチェアをおすすめしない理由
- 中古スタイリングチェアの考え方
- 失敗しない設備投資の考え方
- お客様目線でのスタイリングチェア選び
- メーカー営業20年の本音
失敗① 安さだけで選ぶ
スタイリングチェア選びで最も多い失敗の一つが、価格だけで選んでしまうことです。
最近ではインターネットで2万円以下のスタイリングチェアも販売されています。
しかし、正直に言うと私はおすすめしません。
なぜならスタイリングチェアは、お客様の体重を支える重要な設備だからです。
特に重要なのがベース部分の強度です。
ベースが小さい商品や構造が簡素な商品は、ぐらつきや不安定さにつながる可能性があります。
実際に業界内では、足置きに体重をかけたお客様が転倒しそうになったという話を聞いたことがあります。
もちろん全ての低価格商品が危険というわけではありません。
しかし価格だけを理由に選ぶことは避けた方が良いと思います。
また、激安品はレザーの品質にも差が出やすい傾向があります。
すぐに破れるケースは少ないものの、変色や劣化が早く進むことがあります。
毎日使う設備だからこそ、価格だけでなく品質や耐久性も考える必要があります。
メーカー営業としての本音
国内メーカーのスタイリングチェアは10万円以上する商品も珍しくありません。
そんな中で2万円以下の商品を見ると、正直私は不安になります。
もし私が美容室を経営していたとしても、お客様が毎日座る設備としては選ばないと思います。
スタイリングチェアは単なる家具ではありません。
お客様の満足度や安全性にも関わる重要な設備だと考えています。
失敗② 中古を安さだけで選ぶ
中古スタイリングチェアは決して悪い選択肢ではありません。
実際に私は中古美容器具の販売にも携わっていました。
しっかり整備された中古品であれば、十分使用できる商品も多くあります。
しかし、中古品には新品にはないリスクもあります。
それは、いつ故障するか分からないという点です。
長年使用された器具は、どれだけ整備していても将来の故障までは予測できません。
そのため価格だけを見て中古品を購入するのは危険です。
また、中古品の状態を一般の方が正確に判断するのは簡単ではありません。
昇降や回転の動きは確認できますが、内部の状態までは分からないからです。
中古品を購入する場合は、価格よりも販売店の信頼性を重視することをおすすめします。
中古販売をしていた私の本音
私は中古美容器具の販売にも携わっていました。
整備した中古品で大きなクレームになることはほとんどありませんでした。
しかし、それでも私は積極的にはおすすめしません。
なぜなら長年使用された器具は、いつ故障してもおかしくないからです。
もし予算に余裕があるなら、新品を選んだ方が安心だと思います。
どうしても中古を選ぶ場合は、信頼できる販売店から購入することをおすすめします。
失敗③ 将来の経営計画を考えない
設備選びで失敗するオーナーは、今だけを見て判断してしまう傾向があります。
しかし、スタイリングチェアは数年から十数年使う設備です。
そのため将来の経営計画も考えて選ぶ必要があります。
例えば現在は1人美容室でも、将来的にスタッフを雇う予定があるかもしれません。
その場合、最初から席数やレイアウトを考えておいた方が後々の負担を減らせます。
反対にスタッフ数や売上計画を考えずに設備を導入すると、後から席数不足やレイアウト変更が必要になる場合があります。
美容室の設備は単体で考えるものではありません。
セット面、鏡、ドレッサー、通路幅、スタッフの動線など全体で考える必要があります。
また、美容室にはセット面の間隔や動線にも一定の目安があります。
そのため内装工事は、美容室施工の実績が豊富な業者へ相談することをおすすめします。
私が設備提案前に必ず確認していたこと
設備を提案する前に、私は必ず将来どのような美容室にしたいのかを確認していました。
現在のスタッフ数だけでなく、今後の採用計画や経営方針も重要だからです。
設備は今だけではなく、5年後、10年後も見据えて選ぶべきだと思います。
将来のビジョンがあるオーナーほど、設備選びで失敗することは少なかった印象があります。
失敗④ デザインだけで選ぶ
スタイリングチェアは美容室の雰囲気を左右する重要な設備です。
そのためデザインを重視すること自体は決して悪いことではありません。
しかし、見た目だけで選んでしまうと後悔することがあります。
私が営業時代によく見かけたのが、白いレザーのスタイリングチェアです。
白は清潔感があり、美容室らしい明るい雰囲気を演出できます。
実際に白を基調とした美容室は非常に多くあります。
しかし営業が始まると別の問題が出てきます。
それが汚れです。
白いレザーは汚れが非常に目立ちます。
毎日きちんと手入れをしていれば綺麗な状態を維持できますが、少し手を抜くだけでも汚れが目立ち始めます。
さらに時間が経つと汚れが定着し、簡単には落ちなくなることもあります。
ショールームでは綺麗に見える設備も、実際の営業現場では毎日使われるということを忘れてはいけません。
実際にあった不思議なトラブル
以前、お客様のシャツの色がスタイリングチェアのレザーへ移ってしまったことがありました。
原因ははっきり分かりませんでしたが、白いレザーだったため非常に目立ちました。
営業をしていると、このような予想外の出来事も起こります。
設備はショールームで見る美しさだけでなく、実際に使用した後のメンテナンス性も考えて選ぶことが大切です。
メーカー営業としておすすめのカラー
汚れの目立ちにくさを重視するなら、やはり黒がおすすめです。
最も無難で失敗が少なく、長期間綺麗な状態を維持しやすいカラーです。
私が個人的に好きなのはダークブラウンです。
落ち着いた雰囲気と高級感があり、大人向けの美容室にもよく合います。
また、ベージュ系も高級感があり魅力的です。
ただし、白系と同様に日頃のお手入れは必要になります。
スタイリングチェアのカラー選びでは、デザインだけでなく清掃やメンテナンスのしやすさも考慮することをおすすめします。
失敗⑤ 保証内容を確認しないスタイリングチェアは毎日使う設備です。
そのため、どんなに品質の良い商品でも故障する可能性はあります。
しかし購入時に保証内容を確認していないオーナーも少なくありません。
価格やデザインばかりに目が行き、保証期間や故障時の対応内容を見落としてしまうのです。
実際に私が見てきた故障で多かったのは、ベース部分のガタつきや昇降不良でした。
毎日何人ものお客様が座るため、長年使用するとどうしても負荷が蓄積します。
特に足置き部分へ体重をかける使い方が続くと、想定以上の負荷がかかることもあります。
そのため価格だけではなく、保証内容も確認しておくことが重要です。
最近では比較的リーズナブルな商品でも2年保証を付けているメーカーが増えてきました。
同じような価格帯で迷った場合は、保証期間の長い商品を選ぶのも一つの方法です。
メーカー営業として見てきた故障事例
私が見てきたスタイリングチェアの故障で多かったのは、ベース部分のガタつきや昇降不良です。
特に使用頻度が高い美容室では、設備への負荷も大きくなります。
また、扱い方によって故障頻度が変わることもありました。
そのためスタイリングチェア選びでは、価格だけではなく保証内容も重視することをおすすめします。
失敗⑥ お客様目線で選ばない
スタイリングチェアは美容師が使う設備ですが、実際に長時間座るのはお客様です。
そのため設備選びでは、お客様目線も重要になります。
カラーやパーマなどのメニューでは、1時間以上座ることも珍しくありません。
座り心地が悪いチェアは、お客様の満足度にも影響する可能性があります。
特にクッション性や座った時の安定感は重要です。
美容師は毎日見ているため気にならなくても、お客様は意外と設備を見ています。
メーカー名や価格までは分からなくても、座り心地や高級感は伝わるものです。
お客様として感じたこと
私自身、お客様として通っていた美容室でスタイリングチェアが全て新しくなったことがありました。
しかし実際に座ってみると、以前のチェアよりもクッション性が低く、安価な商品だとすぐに分かりました。
もちろん美容師さんは悪気があったわけではありません。
しかし、お客様は思っている以上に設備を見ています。
私はスタイリングチェア選びでは、美容師目線だけではなく、お客様が快適に過ごせるかどうかも重視してほしいと思います。
失敗⑦ 売上目線で設備を考えない
スタイリングチェアは単なる椅子ではありません。
美容室にとっては売上を生み出す設備です。
しかし設備選びの際に、この視点が抜けているオーナーも少なくありません。
例えば、スペースがあるからセット面を増やす。
なんとなく将来を考えて多めに設置する。
このような考え方は危険です。
大切なのは、何人のお客様を担当するのかという視点です。
セット面の台数が増えれば売上が上がるわけではありません。
スタッフ数や回転率とのバランスが重要です。
例えば1人美容室であれば、セット面2台でも十分なケースがあります。
一方で将来的にスタッフを雇う予定があるなら、最初から3台程度を想定しておくという考え方もあります。
重要なのは今だけでなく、将来の経営計画も踏まえて設備を選ぶことです。
設備営業時代に必ず確認していたこと
私は設備を提案する際、まず将来のビジョンを確認していました。
現在のスタッフ数だけでなく、今後どのような美容室にしていきたいのかを聞いていました。
なぜなら設備は数年単位で使うものだからです。
今だけを見て決めると、後から席数不足やレイアウト変更が発生することがあります。
設備選びは経営計画の一部だと考えるべきです。
まとめ
美容室のスタイリングチェア選びで失敗するオーナーには共通点があります。
安さだけで選ぶ。
中古を価格だけで判断する。
将来の経営計画を考えない。
デザインだけで決める。
保証内容を確認しない。
お客様目線が不足している。
そして売上との関係を考えていない。
スタイリングチェアは単なる椅子ではありません。
お客様満足を高め、売上を生み出す美容室の重要な設備です。
だからこそ価格だけで判断するのではなく、安全性・保証・座り心地・将来性まで考えて選ぶことが大切です。
私自身、メーカー営業として20年以上多くの美容室を見てきました。
その経験から言えるのは、設備選びが上手なオーナーほど経営も上手だということです。
ぜひ目先の価格だけではなく、5年後、10年後も見据えてスタイリングチェアを選んでみてください。
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