美容室の水回り設備を考えるとき、多くのオーナーが最初に悩むのが、 「サイドシャンプーにするか」「バックシャンプーにするか」という問題です。
しかし、実際の水回り設備は、シャンプーボールやシャンプーチェアだけでは完成しません。 給湯・給水・排水・温度調整・設置スペースまで含めて考える必要があります。
私は美容機器メーカーの営業として20年以上、美容室の開業や改装に伴う設備提案に携わってきました。 その後は、中古美容器具や新品設備の販売にも携わっています。
✔ サイドシャンプーかバックシャンプーかを決める
✔ シャンプーボールとチェアを組み合わせる
✔ 給湯・給水・排水設備を確認する
✔ 設置寸法とスタッフの動線を確認する
✔ 修理対応や補修部品も確認する
この記事では、サイドシャンプーとバックシャンプーの違いをはじめ、 美容室の水回りを構成する設備、選ぶ順番、おすすめ商品、導入前の確認事項まで解説します。
美容室の水回り設備を構成するもの
美容室の水回りは、シャンプーボールやシャンプーユニットだけで完成するものではありません。 次の設備を組み合わせて構成されます。
- シャンプーボール・シャンプーユニット
- シャンプーチェア
- 給湯設備
- 給水・排水設備
- サーモスタットや水栓金具
- シャワーヘッドやホースなどの消耗部品
- 設置スペースとスタッフの施術動線
どれか一つだけを先に選ぶのではなく、店舗全体の設備として組み合わせを確認することが重要です。
特にシャンプーボールとチェアの位置関係が合っていないと、お客様の首や身体に負担がかかったり、 美容師が施術しにくくなったりする可能性があります。
美容室の水回り設備を選ぶ順番
設備選びで迷ったときは、次の順番で考えると整理しやすくなります。
- サイドシャンプーかバックシャンプーかを決める
- 設置できるスペースと施術動線を確認する
- シャンプーボールまたはシャンプーユニットを選ぶ
- 組み合わせるシャンプーチェアを選ぶ
- 給湯能力・給水・排水条件を確認する
- 修理対応や補修部品の供給状況を確認する
商品価格だけを見て先に購入すると、設置できない、チェアと位置が合わない、 給湯能力が不足するといった問題につながることがあります。
最終的には、設備の仕様書や設置図面を施工業者と確認してから決めることが大切です。
サイドシャンプーとバックシャンプーの違いを比較
サイドシャンプーとバックシャンプーの大きな違いは、美容師が施術する位置です。
サイドシャンプーはお客様の横から、バックシャンプーはお客様の後ろから施術します。 ただし、使いやすさや快適性は、施術位置だけでなく、具体的な機種やチェアとの組み合わせによっても変わります。
| 比較項目 | サイドシャンプー | バックシャンプー |
|---|---|---|
| 施術位置 | お客様の横 | お客様の後ろ |
| 施術の特徴 | 慣れた技術を活かしやすい | リラクゼーションメニューを検討しやすい |
| ヘッドスパ | 機種や組み合わせによる | 対応しやすい機種が多い |
| 必要スペース | 横方向の作業空間が必要 | 後方の作業空間が必要 |
| 向いている美容室 | サイド施術に慣れたスタッフが多い美容室 | 快適性やヘッドスパを重視する美容室 |
私がメーカー営業として美容室へ提案していた頃は、 バックシャンプーが約6割、サイドシャンプーが約4割という印象でした。
現在は、ヘッドスパやリラクゼーションメニューを重視する美容室も多く、 新規導入ではバックシャンプーから比較するケースが増えていると感じます。
ただし、すべての美容室にバックシャンプーが適しているわけではありません。 店舗の広さ、スタッフの技術、提供するメニューまで含めて判断する必要があります。
2つの方式を詳しく比較したい方はこちら
→ サイドシャンプーとバックシャンプーの違いを詳しく見るサイドシャンプーが向いている美容室
サイドシャンプーは、一昔前まで美容室の定番として広く採用されていました。 現在でも、スタッフの経験や店舗条件によっては有力な選択肢です。
- スタッフがサイドシャンプーに慣れている
- 慣れたシャンプー技術を活かしたい
- 店舗の設置条件がサイド方式に合っている
- 既存のサイドシャンプー設備を更新したい
サイドシャンプーは美容師が横から施術するため、 スタッフが慣れていれば技術を活かしやすいというメリットがあります。
ただし、必要なスペースは機種やレイアウトによって異なります。 「サイドシャンプーなら必ず省スペース」と判断せず、実際の設置寸法を確認してください。
サイドシャンプーについて詳しくはこちら
→ サイドシャンプーの特徴・メリット・注意点を見るバックシャンプーが向いている美容室
バックシャンプーは、美容師がお客様の後ろから施術する方式です。
- ヘッドスパを強化したい
- リラクゼーションメニューを重視したい
- お客様の快適性を重視したい
- バックシャンプー用の設置スペースを確保できる
バックシャンプーは、ヘッドスパなど比較的長時間の施術を想定した機種も多く、 リラクゼーションメニューを強化したい美容室で比較候補になります。
一方で、美容師が後方に立つため、設備の奥行きだけでなく、 施術者が動くスペースまで確保しなければなりません。
バックシャンプーについて詳しくはこちら
→ バックシャンプーの特徴・メリット・注意点を見る美容室タイプ別の選び方
サイドシャンプーとバックシャンプーは、どちらか一方がすべての美容室に優れているわけではありません。
| 重視する条件 | 比較したい方式 |
|---|---|
| サイド施術に慣れたスタッフが多い | サイドシャンプー |
| 既存の設備を活かして入れ替えたい | 現在と同じ方式を中心に比較 |
| ヘッドスパを強化したい | バックシャンプー |
| リラクゼーションを重視したい | バックシャンプー |
| 店舗スペースが限られている | 機種ごとの設置寸法で比較 |
| 初期費用を抑えたい | 本体・工事費を含めて比較 |
私自身が現在、新規開業の設備を考えるのであれば、まずバックシャンプーから比較します。
理由は、ヘッドスパやリラクゼーションメニューを組み立てやすく、 お客様の快適性を重視した設備を選びやすいためです。
ただし、小規模美容室であっても必ずサイドシャンプーが適しているとは限りません。 機種によって必要寸法が異なるため、実際のレイアウト図面で判断することが重要です。
給湯・温度変化・設備寿命も確認する
美容室の水回りでは、シャンプーボールやチェアと同じくらい給湯設備が重要です。
お湯の使用量に対して給湯能力が不足すると、複数台を同時に使用したときに 湯量や温度が安定しない可能性があります。
また、温度変化が発生した場合、必ずしもシャンプーボールのサーモスタットだけが原因とは限りません。 給湯設備や配管なども含めて確認する必要があります。
導入時は本体価格だけでなく、給湯設備、配管、設置工事、将来の修理まで含めて検討してください。
おすすめのシャンプーボール・シャンプーユニット
ここからは、メーカー営業と美容設備販売の経験をもとに、 比較候補にしやすいシャンプー設備を紹介します。
価格だけでなく、快適性や導入後の使いやすさも含めて検討してください。
サイドシャンプー向けおすすめシャンプーボール
TOTOシャンプーボール
TOTOのシャンプーボールは、長年にわたり美容室で使用されてきた代表的な商品です。
サイドシャンプーに慣れている美容師にとって比較しやすく、 開業時や既存設備の入れ替えでも候補になります。
ただし、販売店によってボール本体以外の付属品や水栓金具、送料などの条件が異なる場合があります。 購入前に商品構成を確認してください。
滝川 壁付シャンプーボール(スタリオン)
快適性を重視する場合は、滝川の壁付シャンプーボールも比較候補になります。
特徴は、シャンプーボール内部に後頭部を支える部分が設けられていることです。 首だけに負担が集中しにくい構造を検討したい美容室に向いています。
TOTOのシャンプーボールとは価格帯や構造が異なるため、 本体価格だけでなく、お客様の姿勢や使用感も含めて比較してください。
バックシャンプー向けおすすめシャンプーユニット
バックシャンプーユニットを検討するときは、ボールの形状だけでなく、 組み合わせるチェアやネープ部分の構造も確認してください。
私が比較候補として提案しやすいと感じるのは、次の3機種です。
- FVシャンプーユニット
- LAVER
- スタリオン
FVシャンプーユニット
FVシャンプーユニットは、価格と機能のバランスを重視する場合に比較しやすい商品です。
ネープ部分が後頭部付近まで配置されているため、 首だけに負担が集中しにくい構造を検討したい美容室に向いています。
RICKMANなどの電動シャンプーチェアと組み合わせる場合は、 対応条件と設置寸法を販売店へ確認してください。
LAVER
LAVERも、快適性と価格のバランスを考えながら比較しやすいシャンプーユニットです。
ネープ部分の構造や、組み合わせるチェアとの位置関係を確認したうえで検討してください。
採用されている水栓金具、保証内容、補修部品については、 購入時点の仕様を販売店へ確認することが大切です。
スタリオン
スタリオンは、滝川が取り扱うシャンプーユニットです。
美容業界向け設備を長く扱う企業の商品から選びたい場合に、比較候補になります。
シャンプーボール内部で後頭部を支える構造も、 確認しておきたいポイントです。
FVやLAVERとは価格や仕様が異なるため、 ブランドだけで判断せず、チェアとの組み合わせや導入総額まで比較してください。
おすすめの組み合わせを見たい方はこちら
→ バックシャンプーおすすめセット4選を見るシャンプーチェアとの組み合わせも重要
シャンプー設備を選ぶときに見落とされやすいのが、 シャンプーチェアとの組み合わせです。
お客様の姿勢や首の位置は、シャンプーユニットだけで決まるわけではありません。 チェアの座面高、倒れる角度、ボールとの距離なども影響します。
私が比較候補として考える組み合わせは次の通りです。
| シャンプーユニット | 比較したいチェア | 選ぶときの考え方 |
|---|---|---|
| FVシャンプーユニット | RICKMAN | 価格と機能のバランス |
| LAVER | sieste | 快適性と質感のバランス |
| スタリオン | RS-001EX | メーカーと設備の組み合わせ |
実際に導入する際は、必ず対応する組み合わせかどうかを販売店へ確認してください。
シャンプーチェアの基礎から確認したい方はこちら
→ 美容室のシャンプーチェア完全ガイドを見る具体的な商品を比較したい方はこちら
→ 美容室向けシャンプーチェアおすすめ7選を見る水回り設備を導入する前の確認事項
商品を注文する前に、次の項目を確認してください。
- 本体寸法とリクライニング時の必要スペース
- 美容師が施術するための作業スペース
- 給水・給湯・排水の接続位置
- 給湯器の能力
- シャンプーボールとチェアの対応関係
- 搬入経路と入口の幅
- 設置工事費や追加部品の有無
- 保証期間と修理窓口
- 補修部品の供給状況
本体価格が安くても、追加部品や設置工事によって導入総額が変わることがあります。 見積もりを比較するときは、どこまで含まれているかを確認してください。
メーカー営業と設備販売を経験して感じたこと
私が国内メーカーで営業していた頃は、日本製の設備に強い安心感を持っていました。
その後、中古美容器具や海外生産の新品設備を扱うようになり、 製造国だけで設備の良し悪しを判断できないことも分かりました。
日本企業が企画・設計し、海外で生産している商品の中にも、 価格と品質のバランスを考えやすい商品があります。
反対に、知名度の高いメーカーの商品であっても、 店舗のスペースや提供するメニューに合わなければ、使いやすい設備にはなりません。
重要なのは、製造国やブランド名だけで判断することではなく、次の内容を確認することです。
- 設備の構造
- 使用されている部品
- 店舗との相性
- 修理対応
- 補修部品の供給
- 保証内容
美容室の水回り設備は、長期間使用することが多い設備です。 導入価格だけでなく、故障時の対応まで含めて選ぶことが、長く使用するための重要なポイントです。
まとめ|美容室の水回りは設備全体で考える
美容室の水回り設備を選ぶときは、 最初にサイドシャンプーかバックシャンプーかを検討します。
ただし、方式を決めるだけでは十分ではありません。
- シャンプーボール・シャンプーユニット
- シャンプーチェア
- 給湯・給水・排水設備
- 設置スペース
- スタッフの施術動線
- 修理対応と補修部品
これらを組み合わせて考えることが大切です。
現在、新しく設備を導入するのであれば、私はまずバックシャンプーを中心に比較します。 そのうえで、店舗スペース、予算、スタッフの技術、提供するメニューに合うかを確認します。
サイドシャンプーにも、慣れた技術を活かしやすいという良さがあります。 流行だけで判断せず、自分の美容室に合う設備を選んでください。
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